藤井彌太郎先生からのメッセージ

 いまの交通市場の中で、地域鉄道は、一方ではマス・トランジットの役割を少なくとも地方主要都市で果たせるように経営と整備を進め、一方ではすでに保持してきた鉄道資産を活用する運営を図らなければならない状況にあるわけだ。
 生活交通の市場は、明らかに人口や産業・社会施設の配置など、地域社会のあり方によって左右される。
観光交通を開発するとしても、保存鉄道でよしとするのでなければ、アクセスを含めて地域の観光開発施策が元になって展開することができる。
 計画面でも財政面でも、地域分権化や補助金一括交付のように地域の選択の尊重に移行する現在、鉄道は地域社会から必要として選ばれるものでなければならない。

 本会が、地域社会と鉄道やバスの対話や情報の場として活用されることを期待したい。

藤井先生

平成24年6月1日
慶應義塾大学名誉教授 藤井彌太郎

藤井彌太郎先生のプロフィール

平成25年10月30日ご逝去、享年79歳。
我が国交通経済の第一人者。慶應義塾大学では、商学部教授、商学部長、メディアネット所長、図書館長等を歴任、平成12年慶應義塾大学名誉教授。
その後帝京大学経済学部教授、財団法人運輸調査局評議員、日本交通学会会長を務める。国の運輸政策審議会ほか各種交通政策の委員としてもご活躍。
平成8年に交通文化賞受賞。
現代交通政策(東京大学出版会)、鉄道業界(教育社)ほか著述多数。
国鉄の時代に国鉄2万キロ全線を完乗、慶應義塾大学鉄道研究会のOBであり、商学部教授時代にはその会長も務め、鉄道ものしり読本(廣済堂)の監修を行うほどの生粋の鉄道ファンでもありました。
平成21年5月15日開催の当法人の創立総会には、ご来賓としてご祝辞をいただきました。

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